生成AIのプロンプトはどう作る?理想的な回答を引き出す5STEP

この記事では、理想的な回答を引き出す生成AIプロンプトの作り方をステップにまとめて解説します。

思うようにAIツールから理想的な回答がもらえない…
どんなプロンプトを作ればいいんだろう?

デジタルデータの急増やコンピューターにおける処理性能の飛躍的向上から、第3次AIブームに位置付けられている昨今。

効率的に文章が生成できる利便性から、ChatGPTBing AI ChatなどのAIツールを活用している人は多いですよね。

ただ、AIツールを使っていても思うような回答がもらえない人もいるはず。また、どんなプロンプトを作ればいいのかあいまいな人も多いでしょう。

下の言葉にもあるとおり、大前提としてAIツールから理想的な回答を引き出すには的確なプロンプト作りが不可欠です。不十分なプロンプトでは、何度試しても思うような回答は得られません。

You can achieve a lot with simple prompts, but the quality of results depends on how much information you provide it and how well-crafted the prompt is. 
(単純なプロンプトで多くのことを達成できますが、結果の品質は、提供する情報の量とプロンプトがどれほど巧妙に作成されているかによって決まります。)

引用:Prompt Engineering Guide

そこで、この記事ではAIツールから理想的な回答を引き出すにはどうすればいいのか、プロンプトの作り方をコツも交えわかりやすく解説します。よくあるプロンプトの失敗例やつまづいた時の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

プロンプトとは
プロンプトとは、ある特定の反応やアクションを引き出すために使用される言葉や文章を指す言葉です。

生成AIとは
生成AIとは、テキストや画像など、さまざまなコンテンツが作れるAIを指す言葉。別名「Generative AI(ジェネレーティブAI)とも呼ばれています。

なお、生成AIの特徴などは、次の記事でわかりやすく解説しています。

この記事の要約
  • 生成AIから理想的な回答を得るにはプロンプトが重要
  • 目的・条件・出力形式をmarkdown形式で入力するのがおすすめ
  • 理想的な回答が来ない場合はトライ&エラーを繰り返すことが重要

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目次

生成AIから理想的な答えを出すプロンプト基本の流れ

生成AIから理想的な答えを出すプロンプト基本の流れ

さっそく生成AIから理想的な答えを出すプロンプト作成の流れを、5つのステップにまとめて解説します。

ステップ1:目的を明確にする

ステップ1:目的を明確にする

生成AIに適切な回答を得るための第一歩は「何を達成したいのか」「どんな情報を得たいのか」といった目的を明確にすることです。目的が曖昧なままでは、AIも適切な判断ができず、意図と異なる回答が返ってきてしまいます。

例えば「商品紹介文を作ってほしい」という依頼でも、「誰に向けた商品なのか」「どのようなトーンで伝えたいのか」「何を強調したいのか」などを整理しないまま依頼すると、抽象的で曖昧な内容に仕上がってしまう可能性があります。

「今どんな課題があって、どのような情報を得たいのか?」を自分に問いかけながら、できるだけ具体的にプロンプトを設計しましょう。

ステップ2:制約や詳細情報を設定する

ステップ2:制約や詳細情報を設定する

生成AIからより的確な回答を引き出すには「どのような形式で」「どのような条件で」出力してほしいかを、あらかじめ細かく指定することが重要です。

条件指定を細かくすることで、抽象的な答えではなく、あなたの意図に沿った具体的な内容が得られやすくなります。

例えば「300文字以内でまとめてください」「Pythonを使って、pandasフレームワークで処理を実装してください」など、ボリュームや使用する技術の背景などを明確に伝えることで、精度の高いアウトプットが期待できます

他にも回答を利用するシチュエーションや必ず記載したい内容なども記載することで、より正確な内容を引き出すことが可能です。

プロンプトの具体性が高まるほど、AIは判断材料を得やすくなり、期待に近い回答を返しやすくなります。目的とあわせて、必要な制約や条件をしっかり記述しましょう。

ステップ3:出力形式を定める

ステップ3:出力形式を定める

次に、出力形式を決めましょう。

生成AIから理想的な回答を引き出したいと考えている以上「どんな形で出力してほしいか」のイメージがあるはず。ここでは、そのイメージを次のような項目で分けながら明確にします。

  • 箇条書きや表形式
  • 出力してほしい数(箇条書きの場合)
  • HTMLやCSSなど言語の種類
  • ですます調などのトーン

出力形式があいまいなプロンプトでは、イメージどおりの回答を得られる可能性が低くなります。どのような回答を得たいかイメージしたうえで、適切な出力形式を指示しましょう。

アイデアをたくさん出力したいのであれば箇条書き、文字数制限が必要であれば具体的な数値を指定する必要があります。

出力形式は具体的なほどブレの少ない回答を得られるため、試行錯誤しながら適切なプロンプトを作成しましょう。

ステップ4:各要素をmarkdown形式で書き出す

ステップ4:各要素をmarkdown形式で書き出す

プロンプトの設計がある程度固まったら、それぞれの要素をMarkdown形式で記述するのがおすすめです。Markdown形式を使うことで、内容が構造的かつ視覚的に見やすく、生成AIが各項目を正確に認識しやすくなります

次のような形で記述すると、明確でわかりやすいプロンプトになります。

## 目的
30代女性向けのスキンケア商品の紹介文を作成したい。

## 条件
・Web上に広告として掲載する
・信頼感が伝わるトーンで書く
・保湿しながら肌を守れる日焼け止めとして販売する

## 出力形式
・200文字以内
・「です・ます」調で書く
・htmlやCSSを使用してレイアウトする

【出力結果

<div style=”background-color:#f9f9f9; padding:20px; border-radius:8px; font-family:sans-serif; max-width:400px;”>
<h2 style=”color:#4A4A4A;”>しっとり守る、毎日のUVケア</h2>
<p style=”color:#333333; font-size:14px; line-height:1.6;”>
紫外線から肌をしっかり守りながら、うるおいも逃さない日焼け止めです。乾燥が気になる30代女性に向け、信頼できる成分を厳選。毎日のスキンケアに、安心の一本を。
</p>
</div>

生成AIに指示が明確に伝えられれば、理想的な出力結果を得ることが可能です。

ステップ5:回答が不十分な際は改善点を書く

ステップ5:回答が不十分な際は改善点を書く

生成AIからの回答が理想通りでない場合は、そのまま諦めず「どこが不十分だったのか」「どのように修正してほしいか」といったフィードバックを与えることが重要です。具体的な改善点を伝えることで、AIは内容を再解釈し、より精度の高い回答を出してくれます

例えば「もっと専門的な語彙を使ってください」「読みやすく段落を分けてください」「数字や統計を加えてください」など、期待する出力に向けての指示を追記しましょう。

さらに、自分で修正ポイントが思いつかない場合は、生成AIに「このプロンプトに不足している点は?」「どうすれば理想の出力に近づける?」と聞いてみるのも有効です。AIはプロンプトそのものに対する改善案やテンプレート化の提案も行ってくれます。

一度成功したプロンプトはテンプレートとして保存しておけば、次回以降の作業が大幅に効率化できます。

【補足】参考情報を先に記載しておくのもおすすめ

【補足】参考情報を先に記載しておくのもおすすめ

プロンプトを作成する際、あらかじめAIに伝えておきたい「参考情報」や「出力形式の例」を最初に提示しておくと、回答の精度が格段に上がります。

AIは与えられた情報をもとに出力を構成するため、必要な要素が明示されていることで、より正確で期待に沿った内容を返してくれるのです。

例えば、商品紹介文を依頼する場合は、次のように構成例を提示することで、AIがどのような形で出力すればよいかを理解しやすくなります。

## 回答例
・商品名
・商品概要(用途や特徴)
・ターゲット層や訴求ポイント
こうした「型」をあらかじめ提示することで、生成結果がブレにくくなり、修正回数も減らせるというメリットがあります。
具体的に先ほどの化粧品を例に指示を出すと、以下のようになります。

## 目的
30代女性向けのスキンケア商品の紹介文を作成したい。

## 条件
・企画案として提出する
・信頼感が伝わるトーンで書く
・保湿しながら肌を守れる日焼け止めとして販売する

## 出力形式
以下の##回答例の形で出力する

## 回答例
・商品名
・商品概要(用途や特徴)
・ターゲット層や訴求ポイント

【出力結果】

回答
・商品名
UVモイストシールドエッセンス

・商品概要(用途や特徴)
紫外線カットと高保湿を両立した日焼け止めエッセンス。軽いつけ心地で肌にやさしく、敏感肌の方でも安心して使える処方。SPF50+・PA++++でしっかりガードしながら、ヒアルロン酸とセラミド配合でうるおいを長時間キープします。

・ターゲット層や訴求ポイント
30代女性を中心に、「日中の紫外線対策も保湿も両立したい」というニーズに応える設計。忙しい朝でも手軽に使え、化粧下地としても活用可能。信頼性の高い成分を用いた処方で、上質なスキンケア体験を提案します。

条件を指定するだけで、出力結果も大きく変わります。

上記を踏まえ、生成AIを上手に活用できるようになりたい人は、次の記事を参考にしてください。

【用途別】生成AIのプロンプトテンプレート

【用途別】生成AIのプロンプトテンプレート

ここからは次の用途別に、生成AIのプロンプトテンプレートを紹介します。

プログラム作成

プログラム作成に利用できるプロンプトの例は次のとおりです。

## 目的
・金額を入れると自動で税込価格に変換してくれるプログラムを作りたい

## 条件
・税率は一律10%する
・Pythonを使用して作成する

## 出力形式
・コード
・コード解説

目的や条件を指定することで、簡単なプログラムであればすぐに作成可能です。なお、上記を実行すると以下の出力結果を得られます。

【出力結果】

def calculate_tax_included_price(price):
“””税込価格を計算する関数(税率10%)”””
tax_rate = 0.10
tax_included_price = price * (1 + tax_rate)
return round(tax_included_price, 2)

# 使用例
price = float(input(“税抜価格を入力してください: “))
print(f”税込価格は: {calculate_tax_included_price(price)} 円です”)

コード解説
このプログラムでは、税抜価格を入力として受け取り、10%の消費税を加えた税込価格を計算します。
calculate_tax_included_price関数は、価格に10%の税率を加算し、結果を小数点第2位で四捨五入して返します。
ユーザーが入力する税抜価格をfloat型で取得し、関数に渡して計算された税込価格を出力します。
簡単な構成でありながら、業務用ツールや個人の価格計算にも応用可能なスクリプトです。

上記のように出力形式に合わせて、コードとコード解説が出力されています。プログラムが作成できるコード生成AIの特徴をより詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

文章作成

次に文章作成に使えるプロンプトです。メールの作成や簡単なビジネス文章の作成などに使用することで、大幅に作業コストを削減できます

##目的
新入社員歓迎会のお知らせメールを作成してほしい

##条件
・商品開発部全体に送る内容
・社内で送るメールであることを意識した文体にする
・日時は2025年5月30日 18:30~であることと、会場はレストランを貸切っていることを伝える
・参加を促せるような一言を最後に添える

##出力形式
・300字程度にまとめる

【出力結果】

件名:新入社員歓迎会のご案内(商品開発部)

商品開発部の皆さまへ
お疲れさまです。以下の通り、新入社員歓迎会を開催いたしますのでご案内申し上げます。

日時:2025年5月30日(金)18:30~
会場:○○レストラン(貸切)

新しい仲間を迎える貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。ご不明点があればお気軽にご連絡ください。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

他にも、メールの返信であれば、メール内容を追加して、返信内容を出力することも可能です。

文章の修正

文章の修正を行う際にも、生成AIの利用は便利です。以下のようなプロンプトを使用すれば、誤字脱字やトーンを修正して文章を校正してくれます

##目的
文章をビジネスシーンに合わせたトーンに修正してほしい

##条件
以下の文章内容を修正する

株式会社〇〇様

先日ご依頼いただきました原材料費の削減ですが、社内で交渉した結果、実現が難しいという結果となりました。
今回はご期待に添えられず、申し訳ございません。
今一度、価格についてお話させていただく機会を設けられればと思っております。
もし、よろしければ都合の良い日程を教えていただけませんか?

##出力形式
メールに記載する文章を意識する

上記のように、取引先に送付するビジネス文章としては稚拙な印象を与える文章も、以下のように校正してくれます。

【出力結果】

株式会社〇〇様
平素より大変お世話になっております。
先日ご依頼いただきました原材料費の削減につきまして、社内にて慎重に協議を重ねてまいりましたが、誠に遺憾ながら今回はご要望にお応えすることが難しいとの結論に至りました。
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません。
つきましては、改めて価格についてご相談させていただけるお時間を頂戴できればと存じます。
ご都合のよろしい日時をいくつかお知らせいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

生成AIは文章で伝えるべき内容はわかるものの、シーンに合せた書き方ができない際に利用するのにも役立ちます。

企画やアイデアの作成

企画やアイデアの作成にも生成AIの利用が便利です。以下のプロンプトを使用することで、新商品作成のアイデアを考えるのに利用できます

##目的
新作販売するプロテインの名称

##ターゲット(条件)
20~40代の女性
筋トレやプロテインはボディビルダーを目指す男性のものというイメージを持っている
女性が手に取りやすい名称を付ける

##出力形式
・名称案は10個出す
・箇条書きで書く

【出力結果】

以下は、20~40代の女性をターゲットにした、新作プロテインの名称案10個です。美容やライフスタイルに馴染むような、やさしく親しみやすい印象を重視しています。

SILKY PROTEIN(シルキープロテイン)
Flora Fit(フローラフィット)
Bloom Up(ブルームアップ)
Lily Strength(リリーストレングス)
My Beauty Shake(マイビューティーシェイク)
Glowtein(グロウテイン)
Pure Form(ピュアフォーム)
Fité(フィッテ)
Eclat Body(エクラボディ)
Cocola Protein(ココラプロテイン)

上記のように商品名などのアイデア出しとして利用することも可能です。

市場調査

生成AIを利用することで、市場調査や考察などを行うことも可能です。競合他社の製品を客観的に分析して、強みや弱み、より良い商品にするための工夫なども出力できます。

##目的
競合他社製品の強みや弱みを分析し、自社製品にはどのような差別化を図るべきかを調査したい

##条件
・競合他社Aの商品(URLなどを記載する)
・競合他社Bの商品(URLなどを記載する)

##出力形式
・競合他社それぞれの強みと弱みを箇条書きで書く
・箇条書きの下に自社製品が行うべき差別化を書く

一部の生成AIはURLを参照することも可能であるため、商品ページなどを基に分析を任せられます。

翻訳

生成AIに翻訳を依頼することも可能です。翻訳は少し意訳を混ぜたり、キャラクターに合わせた口調に変換することもできます

##目的
以下の英語の文章を日本語に翻訳する
The time is always right to do what is right.

##条件
・粗暴な男性口調にする
・意訳になってもよいので、キャラクター像に合う言い回しにする

##出力条件
・特になし

【出力結果】

以下がご指定の英語文の、粗暴な男性口調による意訳風の翻訳です。

「正しいことはな、いつやったって正しいんだよ。タイミングなんざ関係ねぇ。」

上記の英文は本来であれば、「正しいことをするのに、時を選ぶ必要はない」となりますが、条件を指定することでキャラクターに合った翻訳が可能です。生成AIを上手に活用すれば、目的に合った翻訳のテイストを選べます。

一度のプロンプト入力でAIツールから理想的な回答が引き出しづらい内容

1度のプロンプト入力でAIツールから理想的な回答が引き出しづらい内容

もちろん、一度のプロンプト入力で求める回答を得られれば理想的ですよね。ただ、プロンプトも万能ではありません。出力したい内容によっては複数回AIツールとのやり取りが必要なケースもあります。

ここでは、一度のプロンプト入力で理想的な回答が引き出しにくい内容を、4つにまとめて紹介します。

複雑かつ専門的な内容

複雑かつ専門的な内容

複雑かつ専門的な内容は、1度のプロンプト入力では理想の回答を出力しにくいです。

例えば、次のような専門知識が必要な内容や複数の回答例が考えられる場合、1度のプロンプトでは情報をまとめきれない可能性があります。

  • 量子コンピュータは従来のコンピューターと比較してどの点が優れていますか?
  • AIとは何か専門的に回答してください。
  • 人間とAIの違いを具体的に答えてください。

量子コンピュータの領域は、高度な物理学やコンピュータサイエンスなど専門知識が必要です。生成AIの処理機能や文字数制限が影響し、1度のプロンプトでは回答をまとめきれない可能性も。また、仮に回答を出力できた場合でも、専門的すぎて素人では理解できない内容となるかもしれません。

複雑かつ専門的な内容を出力したいときは、無理せず複数のプロンプトにわけて実行するのが良いでしょう。

複数の分野にまたがる内容

複数の分野にまたがる内容

複数の分野にまたがる内容も、1度のプロンプト入力では出力しにくいです。

複数分野を1つのプロンプトに盛り込んだ場合、各分野の関係性が複雑になります。そのため、回答内容の精度低下や、情報の漏れが発生しやすいです。

例えば、次のような質問では、出力すべき情報が多岐にわたるため、正確に出力する難易度が高いです。

  • 世界経済の歴史とその未来の傾向は?
  • 暗号資産の将来性と価格が上がりそうな銘柄は?
  • プログラミングを短期間に習得して月収50万円稼ぐ方法は?

1のプロンプトは、経済学と歴史学の分野が混在しています。歴史的な背景から現代の経済状況まで網羅しなければならず、1回の回答で出力する難易度は高めです。それ以外のプロンプトも複数分野の情報が必要であり、無理に出力した場合は情報漏れが発生するリスクもあるでしょう。

複数分野の情報をまとめたい場合、プロンプトをわけて入力したほうが目的とする出力内容を得やすくなります。

回答者によって意見や解釈が異なる内容

回答者によって意見や解釈が異なる内容

回答者によって意見や解釈が異なる内容の場合、1つのプロンプトでは求める情報を出力できない可能性があります。

意見や解釈が異なる情報を網羅できないため、1回のプロンプト入力で求める回答を出力するのは難しいです。たとえば、次のように研究や専門家により意見が異なる質問の場合、希望する回答を得られない可能性があります。

  • 現代芸術は本当に芸術と呼べるのか?
  • 日本人とは何か?
  • 人間にとって幸せとは何か?

意見や解釈が異なる回答を得たい場合は、1回目のプロンプトでアイデアを出力。2回目のプロンプトで、そのなかから自分の意見に近いものを詳しく質問すると良いでしょう。

非現実的な根拠が示しづらい内容

非現実的な根拠が示しづらい内容

非現実的で根拠が示しづらい内容を出力したい場合、1度のプロンプト入力では理想的な回答が得にくくなります。

次のような非現実的で仮定に基づくプロンプトでは、現実に即した回答は得られません。実例や根拠となるデータがなければ、質問を工夫しても仮想的なシナリオしか出力できないでしょう。

  • 地球外生命体が地球を侵略してきたらどうなりますか?
  • 地球から人類がいなくなるとどうなりますか?
  • AIが人間の知能を超えたらどうなりますか?

回答をできるだけ現実的にしたい場合、プロンプトを複数にわけて細かい条件設定を行うのがおすすめです。たとえば、1の質問では地球外生命体の特徴や侵略方法、地球側の対処方法など条件があれば可能な限り現実的な回答を得られます。

とはいえ、非現実的なプロンプトの回答は仮想を含む内容になりがちです。現実的な回答を得たいのであれば、プロンプトの内容に工夫が必要でしょう。

生成AIから理想的な回答が引き出せないプロンプトの共通点

生成AIから理想的な回答が引き出せないプロンプトの共通点

冒頭で触れたとおり、AIツールから理想的な回答を引き出せるかは作り込んだプロンプトの質で決まります。

ここでは、生成AIから理想的な回答が引き出せないプロンプトの共通点を、4つにまとめて紹介します。

上記を織り込んだプロンプトにならないよう、作成時は注意しましょう。

指示内容があいまい

指示内容があいまい

あいまいな指示内容では、AIツールから理想の回答は引き出せません。

回答に必要な事前情報や生成AIに設定する立場・条件があいまいでは、回答の精度が低くなります。不明瞭な質問では回答内容の幅が広がるため、出力したい内容からずれる可能性があるのです。

例えば、次のように同じプロンプトでも具体的な数字や条件の含まれるほうが理想に近い回答を得られます。

1.幸せとは何か?
2.幸せとは何か?次の条件を踏まえ回答してください。
・立場:25歳男性/会社員/独身
・考え方:お金も大事だがライフスタイルも大切にしたい。

1より2のプロンプトのほうが、対象の人物像がわかりやすく幸せという抽象的な概念でも言語化しやすいです。指示内容があいまいなプロンプトを入力した場合、あいまいな回答しか得られません。

理想的な回答を得るには、プロンプトを複数にわけて条件の設定が必要です。

求める回答の範囲が広すぎる

求める回答の範囲が広すぎる

求める回答の範囲が広すぎることは、AIツールから理想的な回答が引き出せないプロンプトの共通点です。

次のように回答範囲が広すぎる場合、求める内容をピンポイントで出力する難易度は高く、抽象的な回答になる可能性があります。

  • 1.世界の歴史を教えてください。
  • 2.明日の世界の天気を教えてください。
  • 3.日本の名産品を教えてください。

1であれば、世界の歴史という広範囲をカバーしなければならず、特定の時代やできごとに特化した回答は期待できません。精度の高い回答を得るには、具体的な国名や年代を指定する必要があります。

このように、求める回答の範囲が広すぎるプロンプトでは、特定の内容を出力するのが困難です。満足できる回答を得るには、具体的な条件を指定して回答の範囲を絞りましょう。

複数の質問が詰め込まれている

複数の質問が詰め込まれている

複数の質問が詰め込まれているのも、AIツールから理想の回答理想的な回答が引き出せないプロンプトの共通点です。

例えば、次のように複数の質問を無理にまとめると関係性が複雑になりやすく、回答の精度が低くなります。

  • プログラミングの将来性と魅力、これから学ぶべき言語を教えてください。
  • 生成AIの将来性や活用例、利用するときの注意点を教えてください。
  • 地球温暖化の影響と対応方法、関連する国際協定について教えてください。

複数の質問を詰め込むと、質問ごとの回答が浅くなりがちです。それぞれの質問には複雑な背景や多くの情報が含まれるため、1つの質問で最良の回答は出力できません。精度の高い回答を得るには、質問ごとにプロンプトをわけることをおすすめします。

回答に必要な情報を共有していない

回答に必要な情報を共有していない

回答に必要な情報が共有されていないことも、AIツールから理想の回答理想的な回答が引き出せないプロンプトの共通点です。

前述したとおり、精度の高い回答を出力するには、必要な事前情報を読み込ませる必要があります。参考にするテキストや画像など、具体的なデータがなければ、適切な分析や結論を導き出せません。たとえば、次のようなプロンプトでは前提条件やデータが足りず理想の回答を出力するのは難しいです。

  • TOEICの点数を上げるための対策を教えてください。
  • 今までにない〇〇に関するアイデアを考えてください。

TOEICの点数アップ方法を出力したい場合、現状の点数や学習履歴など分析に活用する情報を共有する必要があります。事前に情報を読み込ませることで、精度の高い回答を効率よく得られるでしょう。

生成AIから正確な答えを引き出せるプロンプトの種類

生成AIから正確な答えを引き出せるプロンプトの種類

先述したプロンプトのテンプレートを使用しても、生成AIから理想的な回答を引き出すことは可能です。しかし、状況によってはテンプレート以外の方法を試した方が効果的なケースもあります

生成AIプロンプトからより正確な答えを引き出すプロンプトの種類は、下表を参考にしてください。

スクロールできます
プロンプトの種類概要プロンプト例
役割設定AIに特定の役割や視点を与えることで、
出力のトーンや内容を制御する手法。
・あなたはプロのWebエンジニアです。
・あなたはカスタマーサポートの責任者です。
Zero shot prompting事前の例を与えずに、タスクを一発で
指示する基本的なプロンプト方式。
・プロンプトの意味を教えて
・東京にあるプロ野球球団を教えて
Few shot promptingいくつかの具体例を提示して、
AIにタスクの意図を理解させる方式。
AのときはBになる
CのときにはDになる
では、Eのときはどうなると予想できる?
CoT Prompting思考の過程を段階的に明示させることで、
推論の精度を高める手法(Chain of Thought)。
Aくんはノートを3冊をもっており
Bくんは2倍のノートを持っている。
2人合わせて何冊のノートを持っているか考える過程をひとつずつ説明して。
Self ConsistencyCoTの出力から複数の思考ルートを生成し、
もっとも一貫性のある答えを選択する手法。
下の算数の問題を解いてください
思考の過程も含めて説明してください。
ある本は 全部で48ページあります。1日目に8ページ、2日目に10ページ読みました。残りは何ページですか?
Tree of Thought問題を複数の視点から段階的に展開し、
最適解にたどり着く手法(Tree構造)。
新しく発売する20〜40代女性向けの美容プロテインの商品名を考えてください。
以下のように、複数のアイデア(枝)を出し、それぞれの長所と短所を考えた上で、最もふさわしい名称を選んでください。
手順:
1. まず3つの名前案を出してください。
2. それぞれの案について、メリットとデメリットを説明してください。
3. 最もターゲットに合った名称を1つ選び、理由を説明してください。
Generate Knowledge Prompting知識生成を通じて、解答に必要な情報を
事前に構築してから回答させる手法。
・プロンプト(ステップ1:知識生成)
30代女性が健康を保つために摂取すべき栄養素と、その代表的な食品を教えてください。
・プロンプト(ステップ2:知識を活用して解答)
上記の情報をもとに、忙しい30代女性が1日でバランスよく摂取できる食事メニューを提案してください。

テンプレートの方法で理想的な答えが得られない場合は、上記の方法も試してみましょう。

生成AIから理想的な回答を引き出すにはプロンプトの試行錯誤が不可欠

生成AIから理想的な回答を引き出すにはプロンプトの試行錯誤が不可欠

生成AIから理想的な回答を引き出すには、プロンプトの試行錯誤が不可欠です。

一問一答のように明確な答えがある内容であれば、1回のプロンプト入力で問題ないかもしれません。しかし、明確な回答がない分野や新しいアイデアを形にする場合、理想の回答が得られるまでプロンプトの試行錯誤が必要です。

生成AIの回答精度は、プロンプトの質に依存します。使用する情報の指定や出力条件の設定など、具体的であるほど理想の回答を得やすいのです。

プロンプトを実際に入力するまで回答結果はわかりません。1度のプロンプト入力で理想の回答を得るのは難しいため、理想の回答が得られるまで試行錯誤は必要です。

また、プロンプトの種類を段階的に試していくのもおすすめです。例えば、例えば「Zero shot prompting」を実行して、よい答えが見つからなかったら、「Few shot prompting」をするように試していくと、理想の答えを引き出すのに最適な方法が見つかります。

トライ&エラーを繰り返すことで、得たい回答に最適なプロンプトがわかるうえ、AI側も学習してより答えの精度が高まります。

なお、IT企業への転職や作業の効率化などを目標に、プロンプトエンジニアリングを習得したい人は侍エンジニアの「業務改善AI活用コース」をご利用ください。

侍エンジニアでは、現役エンジニアと学習コーチの2名体制で学習をサポートしています。ChatGPTなどの生成AIツールとプログラミングを掛け合わせた作業の効率化スキルを習得可能です。

「受講生の学習完了率98%」「累計受講者数4万5,000名以上」という実績からも、侍エンジニアなら未経験からでも挫折なく転職や作業の効率化を実現できます。

まとめ

今回は、生成AIで理想的な回答を得るために必要なプロンプトについて解説しました。

生成AIの回答精度はプロンプトの質で決まります。事前に生成AIに与える情報や出力条件など、何度も試行錯誤しながら最適なプロンプトを見つけなければいけません。生成AIで希望の回答が得られないと悩んでいる人は、記事内容を参考にプロンプトを見直してください。

なお、精度の高い回答を得られるプロンプトのテンプレートが見つかれば、次回以降の作業を効率化できます。次の記事では、ChatGPTで活用できるプロンプトのテンプレートを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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この記事を書いた人

【プロフィール】
Webライター5年目。中学校の教員としてICT教育を担当した後、SES企業にてSQLを用いた運用・保守に従事。業界経験を積んだ後、システム開発に関わりたいと大手SIerに転職。基本設計からテストまでと一連の開発を担当する傍ら、Webライターとしての活動を開始。2024年から侍エンジニアブログの記事作成を担当。ライティングやプログラミングで生成AIを活用し、作業時間を30%削減しつつ、年収100万円アップを実現しました。生成AIの活用方法を初心者にもわかりやすく解説します。
【専門分野】
IT/Web開発、データベース運用・保守

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