Difyでできること5選!利用のメリット、注意点、活用例を解説

Difyとは?
クラウドと自前運用はどっちが良い?
実務で本当に役立つの?

Difyは生成AIアプリの基盤です。

ノーコードのワークフローでLLM・RAG・エージェントや外部API連携、ログ/評価まで一体で運用できます。また、クラウド/自社ホスト対応でモデル切替や権限管理も簡単です。

この記事では、Difyについて以下の内容を解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

【前提知識】Difyとは

DifyはオープンソースのAIアプリ基盤で、LLMOpsとBaaSをまとめて提供することで生成AIアプリの開発から運用までを一気通貫にします。

ノーコードのビジュアルワークフローでLLM呼び出しや条件分岐、HTTP、コード実行などを組み合わせられます。RAGの各工程をUIで可視化したナレッジ機能を備え、社内文書の取り込みから検索までを管理可能です。

モデルやプラグインの管理、観測やトレースも一つの画面で扱えます。

公式は「エージェントやRAGを本番運用するための基盤」であると説明しており、クラウドとセルフホストの両方に対応します。

Difyでできること5選

Difyでできること5選

この章では、Difyでできることを以下の順に5つ紹介します。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

ビジュアルワークフロー構築

Difyの強みはノーコードでLLMアプリの処理を線でつなぎながら作れる点です。

まず「LLM」ノードで文章生成や分類を配置します。次に「Knowledge Retrieval」ノードで社内ナレッジを検索して文脈を渡します。

条件分岐は「IF/ELSE」で実装でき、外部APIはHTTPノードで呼び出し可能です。コード実行が必要ならコードノードで補完しましょう。

各ノードは入出力を明示できるため設計が分かりやすくなります。実行履歴はトレースで可視化でき、分岐やループを含む実行経路も確認可能です。

ログと注釈を使えば改善点を素早く見つけられます。セルフホストでも同じ操作感で運用できます。

エージェント実行と外部ツール連携

Difyではエージェントが状況に応じてツールを選び実行します。

推論方式はFunction CallingとReActに対応しており、安定性やモデル特性に合わせて切り替え可能です。ワークフロー上のエージェントノードで戦略を選択でき、反復回数などの挙動も設定できます。

外部APIとはHTTPやOpenAPI連携に加えてMCPで接続でき、MCPサーバーを用意するとドキュメントや社内システムと自然な対話が可能です。OAuth対応の拡張が進んでおり、安全に権限を付与した上で実行できます。

運用では実行ログとトレースで動きを可視化し、最小権限や監査方針を決めると安心です。

RAG/ナレッジ管理

DifyのRAGは「ナレッジ」に文書を取り込み、分割や埋め込み、検索をUIで一元管理できる点が特長です。

まず社内規程や手順書をアップロードし、チャンク化とベクタ化を行い、メタデータで部門や更新日を付けて検索精度の向上が可能です。ワークフローではKnowledge Retrievalノードを配置し、質問に応じて該当文書を抽出してLLMに文脈として渡します。

フィルタは自動/手動で設定でき、Top-Kや戦略を変えてハルシネーションを抑えます。さらにKnowledge Pipelineを使うと、取り込みからクレンジング、要約、索引生成までをビジュアルに編成でき、企業データでも再現性高く運用が可能です。

マルチモデルの情報管理と切り替え

Difyは「設定>Model Providers」でOpenAIやAnthropicなど複数プロバイダを追加し、用途ごとに最適なモデルを選べます。

複数のAPIキーや資格情報を同一プロバイダに登録しておき、必要に応じて切り替えや削除、更新が行えます。大規模生成と軽量補助でモデルを分けるなど、コストと精度の最適化がしやすい点が強みです。

ワークフローやツールの実行で参照する資格情報も管理画面から選択でき、運用時のキー枯渇やレート制限のリスクを抑えられます。

なおエージェント本体の対話モデルへの個別キー割り当ては制約があるため、ツール側の資格情報選択で運用設計するのが現実的です。

ログ・評価・トレースで品質改善

Difyは実行ごとのログとトレースを保存し、各ノードの入力や出力所要時間、エラーを「Last run」から確認できます。

ワークフロー全体の履歴はRun Historyで把握でき、トークン使用量や実行経路も追跡できます。バージョン1.5.0以降はリアルタイムデバッグが強化され、ノード単位で変数の流れを逐次検証可能です。

評価や運用監視は外部LLMOpsとも連携でき、MonitoringからLangfuseやArizeやOpikを設定すると自動でトレースが送信されます。

これによりエージェントのツール使用や応答品質を継続評価でき、失敗時の再現や改善点の特定が容易になります。

Difyを利用するメリット3選

Difyを利用するメリット3選

Difyを利用するメリットは主に次の3つです。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

ノーコードで本番レベルのAIアプリが作れる

DifyはBaaSとLLMOpsを一体化したオープンソース基盤で、開発と運用を同じ画面で進められます

ノーコードのワークフローでLLMノードや条件分岐やHTTPやコード実行をつなげて業務ロジックを構築が可能です。ナレッジ機能で文書の取り込みや分割や埋め込みや検索をUIから管理でき、RAGの文脈を安全に渡せます。

エージェントはFunction CallingとReActを切り替えられ、状況に応じてツール実行を自動で選択可能です。

ログとトレースと注釈で実行経路やトークン消費や失敗点を可視化でき、評価基盤とも連携して品質を継続改善できます。

運用性や拡張性が高い

Difyは「運用しながら育てる」前提で設計され、監視と拡張の仕組みが最初から揃っています

まず監視ではLangfuseやArizeやOpikとネイティブ連携でき、実行のトレースやエラー点を可視化して改善サイクルを回せます。次に拡張ではMCPやOAuthを通じて外部ツールに安全に接続でき、更新時も段階的に反映が可能です。

モデル周りは複数資格情報を登録して切り替えられるため、費用や精度の最適化が容易です。さらにAPI公開は利用者ごとにアクセス資格を分けられ、権限管理をシンプルに保てます。

セルフホストにも対応しており、要件に合わせた配備が可能です。

多モデル併用でコスト・精度の最適化がしやすい

Difyは複数のモデルプロバイダと複数の資格情報を登録できるため、用途ごとに最適な組み合わせを選べます

試作や要約には軽量モデルを使い、回答の最終生成には高性能モデルを当てると費用を抑えつつ品質を保てます。プロバイダごとに複数キーを持てるため、切り替えや削除や更新が簡単です。

負荷が高い時は同一モデルに複数キーを設定して呼び出しを分散でき、レート制限の影響を下げられます。

運用ではログや監視と合わせてトークン使用量を見直し、重い工程だけ高性能モデルに差し替えると効果が出ます。

Difyを利用する際の注意点3選

Difyを利用する際の注意点3選

Difyを利用する際の注意点は主に次の3つです。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

モデル課金は各プロバイダ側で発生する

DifyはAIアプリを作る土台であり、トークン課金はOpenAIやAnthropicなど各モデル提供元に対して発生します。

Difyクラウドの料金はプラットフォーム機能の利用料であり、モデル利用料とは別管理になります。利用前に「Settings>Model Providers」でAPIキーを登録し、どのプロバイダを使うか明確にしましょう。

大量アクセス時はレート制限に備え、複数資格情報を用意して負荷分散すると安全です。運用では各プロバイダの請求ダッシュボードとDifyの監視を併用し、使用量の変化を早期に把握します。

導入時は無料枠や単価の違いを比較し、要件に応じてモデルを切り替えます

OAuth連携は権限設計を慎重に行う

Difyで外部サービスとつなぐ際はOAuthで認可を行い、取得するスコープは最小限に絞りましょう

プラグインやツール側でOAuthを実装でき、同意画面やクライアントIDの設定が必要です。ユーザーごとにトークンを分離し、失効や更新の運用手順も決めます。

MCP連携では実行時の資格情報で利用可能なツールが動的に絞られるため、ロール設計と相性が良いです。監視はLangfuseやOpikを連携してトレースを常時記録し、想定外の権限行使を早期に検知します。

HTTPノードなどで秘密情報が露出しない設計も重要で、信頼性指針やセキュリティドキュメントを併読すると安心です。

セルフホストはインフラ運用コストに注意する

セルフホストは自由度が高い反面、サーバー費や監視や保守の手間が増えます

最小構成でもCPU2コアやRAM4〜8GBが推奨され、VMやストレージの費用がかかります。データベースやRedisやオブジェクトストレージの運用やバックアップや障害対応も必要です。

Kubernetesで可用性を上げる場合はHelmやIngressや永続ボリュームの設計が追加コストになります。環境変数やSECRET_KEYやSSL終端の設定やログ保持の方針も決めましょう

外部連携はOAuthアプリを自前登録する必要があり、鍵の管理と権限設計の工数も見込まれます。

Difyのおすすめ活用例3選

Difyのおすすめ活用例3選

この章では、Difyのおすすめ活用例を以下の順で3つ紹介します。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

ヘルプデスクの一次応答の自動化

DifyならFAQや手順書を「ナレッジ」に取り込み、質問に合う根拠を自動で検索してLLMに渡す流れをワークフローで組めます。

まずKnowledge Retrievalノードでメタデータや戦略を設定し、社内文書の中から必要箇所だけ抽出します。次に回答テンプレートをLLMノードに用意し、引用表示を有効にして根拠を見える化しましょう。

外部のチケット管理や在庫確認はMCPやHTTP連携で実行し、必要な権限のみを付与して安全に動かします。

公開後はRun HistoryやLogsで実行経路や失敗点を確認し、注釈と改善を繰り返すと応答精度が安定します

ドキュメント要約・検索ダッシュボード

Difyなら社内文書を取り込み、要約と検索をまとめたダッシュボードを短時間で作成可能です。

まずナレッジにファイルや外部データを登録し、分割や埋め込みや取得戦略を設定します。次にKnowledge RetrievalノードでメタデータフィルタやTop-Kを調整し、質問に合う箇所だけを抽出します。

抽出テキストはLLMノードに渡して要約テンプレートで整形し、引用を表示して根拠を示しましょう。公開後はRun Historyやログで利用状況や失敗点を確認し、抽出精度や表示文面を継続的に改善します。

Webサイトへは埋め込みコードで設置でき、ユーザーは検索と要約を同じ画面で扱えます

社外APIを呼ぶ業務エージェント

Difyではエージェントノードを使い、状況に応じて最適なツールを自動選択して社外APIを呼び出せます

関数呼び出し型とReAct型の推論戦略を切り替えられ、安定性やモデル特性に合わせた設計が可能です。HTTP RequestノードでOpenAPIや独自エンドポイントを直接叩けます。

また、MCP連携を使うと外部MCPサーバーのツール群を安全に発見して利用できます。

OAuthが必要なAPIは事前に認可設定を整えると安心です。実運用では実行ログとトレースで失敗点を素早く特定できます。

監視基盤と連携してコストや遅延も把握しましょう。

Difyに関してよくある質問

Difyに関してよくある質問は次の3つです。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

クラウド版とセルフホスト版は何が違う?

クラウド版は登録だけで使い始められ、運用基盤や更新は提供側に任せられます。

自前構築が不要なので評価や小規模運用をすぐ始めたい時に向きます。

一方でセルフホスト版はDocker ComposeやKubernetesで自社環境に導入し、DBやRedisやストレージも自分で管理が可能です。そのぶん権限設計やログ保持やバックアップを細かく決められます。

プラグインやOAuth連携はクラウドで事前設定がある一方、セルフホストでは自分でOAuthアプリを登録する場面があります。最低要件はCPU2コアとRAM4GB程度が目安で、規模に応じてリソースを増やしましょう。

どのモデルプロバイダに対応している?

Difyは主要なLLMプロバイダを標準サポートし、設定画面から追加して使えます。

OpenAIやAzure OpenAIやAnthropicやGeminiやGoogle Cloudに対応します。CohereやMistralやOpenRouterやAWS BedrockやGroqやReplicateも利用可能です。

OllamaやHugging FaceやNVIDIA系のNIMやAPI Catalogにも接続が可能です。音声認識や埋め込みやリランクの対応可否はプロバイダごとに異なります。

まずはSettings→Model ProvidersでAPIキーを登録しましょう。

外部サービス連携の安全性は?

DifyはOAuthやAPIキーで外部サービスに接続し、権限は設定画面やプラグイン側で最小化できます。

まず各モデルや外部APIは「Model Providers」やツール設定でキーを分離し、用途ごとに管理します。これにより漏えい時の影響を局所化が可能です。

MCPは正式対応で、外部MCPサーバーのツールを安全に発見・利用でき、逆にDify側をMCPとして公開する構成もできます。権限境界が明確になり監査もしやすい設計です。

セルフホスト時はOAuth要件に応じて環境変数を設定し、ローカルや社内向けの統合ではリダイレクトやスコープ制約に注意します。

まとめ

この記事では、Difyについて以下の内容を解説しました。

Difyは、小さく始めて運用しながら磨けるAIアプリ基盤です。

まずは社内FAQのRAGや要約ダッシュボードのような小規模案件で効果を確かめると、費用と品質の勘所がつかめます。次にログとトレースで改善点を洗い出し、重い工程だけ高性能モデルに置き換えるとコスト最適化が進みます。

最後にMCPやOAuthで社外APIを安全に広げれば、問い合わせ対応や定型オペの自動化が現場レベルで定着するでしょう。

ぜひこの記事を参考にDifyを利用してみてください。

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この記事を書いた人

東京都多摩市出身。前職では都内ホテルにて設備管理を担当。業務の傍ら、独学でプログラミングを習得し、Webライターとしても複数メディアで執筆経験を積む。

現在は、生成AIとプログラミング学習を融合した教育系コンテンツの企画・執筆を行い、「ChatGPTを使った学習支援」や「初心者のためのAI活用術」に関する記事で月間1万PV超を達成。

「プログラミング学習の挫折をゼロに」を理念に、技術の背景知識だけでなく「なぜつまずくのか」「どうすれば継続できるのか」にフォーカスした実践的な情報提供を重視している。

現在は双子の子育てにも奮闘中。将来、自身の子どもたちがこのブログを通じてテクノロジーの面白さに触れられるような家庭発・未来志向型の学びメディアの構築を目指す。

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