n8nとMCPはどう連携できる?手順をわかりやすく解説
n8nとMCPって何が違うの?どう組み合わせるとメリットがあるの?
Claudeからn8nのワークフローを呼び出すには、具体的にどんな設定が必要なの?
セキュリティ面で気をつけることは?AIに勝手に操作されて危険じゃないの?
AIアシスタントが実際の業務処理を自動実行できる時代が到来しています。特に2024年11月にAnthropicが発表したMCP(Model Context Protocol)により、ClaudeをはじめとするAIエージェントが外部ツールと標準的な方法で連携できるようになりました。
しかし、MCPとn8nを組み合わせることでどのような業務自動化が実現できるのか、具体的な設定手順や注意点がわからず、導入に踏み切れない方も多くいます。
そこでこの記事では、n8nとMCPの基本的な関係性から、実際にAIエージェントからワークフローを呼び出すための具体的な手順、セキュリティ対策、効果的な設計ポイント、さらには発展的な活用アイデアまで、体系的に解説していきます。
- n8nとMCPの役割の違いと、AIエージェントと連携する仕組みがわかる
- WebhookとMCP設定ファイルを使った具体的な接続手順がわかる
- 認証設定や権限管理など、安全に運用するためのセキュリティ対策がわかる
n8nとMCPの関係性

n8nとMCPは、AI時代のワークフロー自動化を実現する上で非常に相性の良い組み合わせです。
MCPがAIアシスタントと外部ツールをつなぐ「橋渡し役」を担い、n8nがその裏側で実際の業務処理を自動実行するという構図になります。
ここからは、n8nとMCPの関係性について次の3つの視点から解説していきます。
それぞれ詳しく解説していきます。
MCP(Model Context Protocol)の基本的な役割
MCP(Model Context Protocol)は、Anthropic社が2024年11月に発表した、AIアシスタントと外部システムを標準的な方法で接続するためのオープンプロトコルです。
従来、ClaudeやChatGPTなどのAIアシスタントが外部のツールやデータベースにアクセスするには、それぞれ個別のAPI統合を開発する必要がありました。
MCPはこの課題を解決し「AIのためのUSB-C」のように、統一されたインターフェースでさまざまなシステムと接続できる仕組みを提供しています。
MCPでは「ツール」「リソース」「プロンプト」という3つの主要機能を通じて、AIが外部システムと対話できるようになります。具体的には、データベースへの問い合わせ、ファイルの読み書き、APIの呼び出しなどを、AIアシスタントが自律的に実行できるのです。
これにより開発者は、一度MCPサーバーを構築すれば、複数のAIアプリケーションから同じツールを利用できるようになりました。
n8nが担うワークフロー自動化との位置づけ
n8nは、ノーコード・ローコードでワークフロー自動化を実現するオープンソースのプラットフォームです。
Gmail、Slack、Google Sheets、データベースなど、700以上のサービスと連携し「この条件のときに、こういう処理を実行する」という業務フローを視覚的に構築できます。n8nとMCPを組み合わせることで、AIアシスタントが「判断」を担当し、n8nが「実行」を担当するという理想的な分業体制が実現します。
たとえば、Claudeが「この顧客には優先対応が必要」と判断したら、n8n経由で自動的にSlack通知、CRM更新、担当者へのメール送信といった一連の処理を実行できるのです。
n8nは既に「MCP Server Trigger」や「MCP Client Tool」といった専用ノードを提供しており、MCPとの連携を公式にサポートしています。これにより、n8nをMCPサーバーとして公開したり、逆にn8nから外部のMCPサーバーを呼び出したりといった柔軟な構成が可能です。
「AIエージェント×n8n」の構成イメージ
AIエージェントとn8nを連携させた典型的な構成では、Claude DesktopなどのAIアプリケーションがMCPクライアントとして機能します。
ユーザーがClaude Desktopで「今月の売上レポートを作成してSlackに投稿して」と指示すると、ClaudeはMCP経由でn8nのワークフローを呼び出すのです。
n8n側では「売上データ取得→集計→グラフ作成→Slack投稿」という一連の処理が事前に構築されたワークフローとして待機しており、MCP経由で実行されます。
この構成の利点は、複雑な業務ロジックをn8nで一度構築すれば、あとはAIが状況に応じて適切なワークフローを選択・実行できる点にあります。また、n8nのワークフローは視覚的に編集できるため、プログラミング知識がなくても業務担当者が処理内容を理解し、必要に応じて調整できるのです。
システム全体としては「ユーザー ↔ AIエージェント(Claude) ↔ MCP ↔ n8nワークフロー ↔ 各種サービス(Slack、DB等)」という多層構造になります。
n8nでMCPツールを扱う目的とメリット

n8nとMCPを組み合わせることで、AIアシスタントに実際の業務処理能力を持たせることが可能です。
従来のAIは「提案」や「アドバイス」にとどまっていましたが、MCPとn8nの連携により、AIが自ら判断して実際のアクションを実行できるようになるのです。
ここからは、n8nでMCPツールを扱う具体的なメリットについて次の3つの観点から解説します。
それぞれ詳しく解説していきます。
ClaudeなどのAIエージェントから既存フローを呼び出せる
n8nとMCPを連携させる最大のメリットは、既に構築済みのワークフローをAIエージェントから簡単に呼び出せる点です。
たとえば、社内に「顧客情報をCRMから取得して営業レポートを生成する」というn8nワークフローが既に存在する場合、これをMCP経由で公開すれば、Claudeが必要に応じて自動実行できます。
既存の業務資産を活かしながらAI化を進められるため、ゼロから開発する必要がなくなるのです。
従来、AIに新しい機能を追加するには、Function Callingのための専用コードを書く必要がありました。しかしn8nの「MCP Server Trigger」ノードを使えば、既存ワークフローのトリガーを変更するだけでMCPツールとして公開できます。
これにより、開発工数を大幅に削減しながら、AIエージェントの実行可能な業務範囲を急速に拡大できるのです。
SaaS連携やDB操作をAI経由で安全に実行できる
AIアシスタントに直接データベースやSaaSのAPIキーを渡すのは、セキュリティ上のリスクがあります。
n8nを中間層として配置することで、AIには必要最小限の権限だけを与え、実際のデータアクセスはn8n側で厳密に管理できるのです。
たとえば「売上データを表示して」というリクエストに対し、AIはn8nの特定エンドポイントを呼び出すだけで、データベースの認証情報には一切触れません。
n8n側では、アクセス可能なテーブルや実行可能なクエリを制限でき、不正な操作を防止する仕組みを構築できます。さらに、n8nのワークフロー内でエラーハンドリングや入力検証を実装しておけば、AIが誤った指示を出した場合でも安全に処理を中断できるのです。
このようなセキュリティレイヤーを設けることで、AIエージェントを本番環境で安心して運用できるようになります。
コードを書かずにMCPツールの裏側ロジックを構築できる
通常、MCPサーバーを構築するには、PythonやTypeScriptでサーバーコードを書く必要があります。
しかしn8nを使えば、ドラッグ&ドロップの視覚的な操作だけで、MCPツールの実装を完成させることができるのです。これにより、プログラミング経験が限られたビジネスユーザーでも、AIエージェント向けのツールを自ら作成できるようになります。
たとえば「在庫が閾値を下回ったら発注する」という業務ロジックを、n8nのIF分岐ノードとHTTPリクエストノードを組み合わせるだけで実装できます。これをMCP経由で公開すれば、ClaudeがチャットUI上で「在庫状況を確認して」と指示するだけで、自動的に在庫チェックと発注判断が実行される仕組みが完成するのです。
開発速度の向上だけでなく、業務に詳しい現場担当者が直接ワークフローを調整できるため、実務に即した精度の高いAIツールを構築できます。
n8nをMCPから呼び出す具体的な手順

n8nのワークフローをMCP経由でAIアシスタントから呼び出せるようにするには、いくつかの設定ステップが必要です。
ここでは、最も基本的な構成である「WebhookトリガーでMCPツールを公開する方法」を解説します。
ここからは、実際にn8nをMCPから呼び出すための手順を次の3ステップで説明していきます。
- ステップ1:n8n側でWebhookエンドポイントを用意
- ステップ2:MCPのツール定義にn8nのエンドポイントを登録
- ステップ3:プロンプトからツール呼び出しをテスト
それぞれ詳しく解説していきます。
ステップ1:n8n側でWebhookエンドポイントを用意
まず、n8nのワークフローエディタで新しいワークフローを作成し、トリガーノードとして「Webhook」を選択します。
Webhookノードの設定では、HTTPメソッド(通常はPOST)、パス名(例:/analyze-customer)、そして認証方式を指定してください。本番環境では必ずBearer TokenやBasic認証を設定し、誰でもアクセスできる状態にしないよう注意が必要です。
Webhookの設定が完了すると、n8nが自動的にエンドポイントURL(例:https://your-n8n.com/webhook/analyze-customer)を生成します。続いて、実際の処理ロジックを構成するノード(HTTPリクエスト、データベースクエリ、Slackノードなど)をWebhookノードの後ろに接続してください。
ワークフローを保存してアクティベートすれば、外部からHTTPリクエストを受け付ける準備が整います。
ステップ2:MCPのツール定義にn8nのエンドポイントを登録
次に、AIアシスタント(Claude Desktopなど)のMCP設定ファイルに、n8nのエンドポイントをツールとして登録します。
Claude Desktopの場合、設定ファイルは~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json(Macの場合)に配置されています。
このファイルに、n8nのWebhook URLと認証情報を含むMCPサーバー定義を追加することで、Claudeがn8nを呼び出すことが可能です。具体的には、mcpServersセクションに、サーバー名、エンドポイントURL、認証トークンなどを記述します。
n8n公式が提供するMCP Gatewayを使う場合は、SSE(Server-Sent Events)形式での接続設定も必要です。設定ファイルを保存してClaude Desktopを再起動すれば、新しいツールが利用可能になります。
ステップ3:プロンプトからツール呼び出しをテスト
設定が完了したら、実際にClaude Desktopのチャットウィンドウでツールを呼び出してみましょう。
たとえば「顧客ID 12345の分析レポートを作成して」と入力すると、Claudeは登録されたn8nツールを検索し、適切なパラメータとともに実行します。
初回テストでは、n8n側のログやエラーメッセージを確認しながら、パラメータの形式や認証が正しく設定されているか検証することが重要です。
エラーが発生した場合は、n8nのWebhookノードに到達しているか、認証トークンが一致しているか、JSONペイロードの形式が正しいかをチェックしてください。
正常に動作すれば、Claudeはn8nワークフローの実行結果を受け取り、それを元にユーザーへの返答を生成します。複数のツールを登録している場合は、Claudeが状況に応じて最適なツールを選択して実行する様子を観察できるはずです。
n8nとMCP連携の注意点・セキュリティ

n8nとMCPを連携させる際には、セキュリティと運用面でいくつか重要な注意点があります。
特に本番環境でAIエージェントに業務システムへのアクセス権を与える場合、適切な対策を講じないと深刻なリスクにつながる可能性があるのです。
ここからは、n8nとMCP連携における主要な注意点について次の3つの観点から解説します。
それぞれ詳しく解説していきます。
認証・APIキー・Webhook公開範囲の管理
n8nのWebhookエンドポイントを外部に公開する際、最も基本的かつ重要なのが認証設定です。
デフォルトでは認証なしで誰でもアクセスできる状態になっているため、必ずBearer TokenまたはBasic認証を設定し、トークンは十分な長さの乱数を使用してください。
認証トークンは環境変数やシークレット管理ツール(AWS Secrets Manager、HashiCorp Vaultなど)で管理し、ソースコードやログに直接記述しないよう注意が必要です。
また、n8nをセルフホストしている場合、ファイアウォールやVPCの設定により、特定のIPアドレス範囲からのみアクセスを許可することも検討してください。
MCPクライアント(Claude Desktopなど)からのアクセスに限定したい場合は、リクエストヘッダーのUser-Agentやカスタムヘッダーで追加検証を行う方法もあります。公開するエンドポイントの数は必要最小限に抑え、使用しなくなったWebhookは速やかに無効化するという運用ルールも重要です。
AI側から実行できる権限・操作範囲の明確化
AIエージェントに与える権限は「必要最小限の原則」に従い、実行可能な操作を厳密に制限する必要があります。たとえば「データ参照のみ」「特定テーブルへの書き込みのみ」といったように、ワークフローごとに実行可能な操作範囲を明確に定義しておくことが重要です。
n8nのワークフロー内では、入力パラメータのバリデーション(型チェック、範囲チェック、許可リストとの照合)を必ず実装してください。
AIが誤って不正なパラメータを渡した場合でも、ワークフロー側でエラーとして拒否できる仕組みが必要なのです。また、削除や更新といった破壊的操作を含むワークフローには、人間による承認ステップを挟むことを推奨します。
権限設計時には「このツールがAIに悪用された場合、どのような被害が考えられるか」という視点で、最悪のシナリオを想定しておくことが大切です。
ログ・監査トレイルの取得と誤操作時のリカバリ
AIエージェントによる自動実行では、予期しない動作や誤操作のリスクが常に存在します。そのため、n8nのすべてのワークフロー実行履歴、入力パラメータ、実行結果を詳細にログとして記録し、後から検証できる体制を整えることが不可欠です。
n8nは標準で実行履歴を保存していますが、保存期間や詳細レベルを本番要件に合わせて調整してください。
重要な操作(データベース更新、外部API呼び出し、ファイル削除など)については、専用の監査ログテーブルに記録し、いつ・誰が・何を実行したかを追跡可能にすることを推奨します。誤操作が発生した場合に備え、データベースのバックアップやロールバック手順を事前に確立しておくことも重要です。
可能であれば、ステージング環境でAIエージェントのテストを十分に行い、本番環境では段階的にツールを公開していくアプローチが安全です。
n8nとMCPを組み合わせる際の設計ポイント

n8nとMCPを効果的に組み合わせるには、単に技術的な接続を実現するだけでなく、設計面での工夫が重要になります。
適切な設計により、保守性が高く、拡張しやすいAI駆動のワークフローシステムを構築できるのです。
ここからは、n8nとMCPを組み合わせる際の主要な設計ポイントについて次の3つの観点から解説します。
それぞれ詳しく解説していきます。
「AIに任せる部分」と「n8nで固定化する部分」の切り分け
AIエージェントとn8nの役割分担を明確にすることが、効果的なシステム設計の第一歩です。
一般的には、状況判断や意思決定、ユーザーとの対話はAIに任せ、決まった手順で実行すべき業務ロジックはn8nで固定化するという分担が効果的です。
たとえば「この顧客は優先対応が必要か」という判断はAIが行い「優先対応フロー」の実行自体は厳密に定義されたn8nワークフローに任せるという構成になっています。
AIに任せる判断基準は「複数の要素を総合的に考慮する必要がある」「ケースバイケースで柔軟な対応が求められる」といった特性を持つタスクが適しています。一方「必ず5営業日以内に承認プロセスを完了させる」といったルールベースの処理や、複雑なデータ変換処理はn8nで確実に実装すべきです。
この切り分けを曖昧にすると、AIの出力が不安定な場合に業務全体が機能しなくなるリスクがあるため、設計段階で慎重に検討してください。
ワークフローを小さな機能単位の”ツール”として設計する
n8nワークフローをMCPツールとして公開する際、大きな複合ワークフローではなく、単一機能を持つ小さなツールとして設計することを推奨します。「顧客情報取得」「請求書生成」「在庫確認」といった粒度で個別のワークフローを作成し、それぞれをMCPツールとして公開するのです。
このアプローチの利点は、AIエージェントが状況に応じて必要なツールだけを組み合わせて使えることにあります。
たとえば「見積もり作成」という依頼に対し、AIが「顧客情報取得」→「在庫確認」→「見積書生成」という複数ツールを順次呼び出すことで、柔軟に対応できるのです。
また、個別ツールごとに権限設定やエラーハンドリングを独立して管理できるため、保守性も向上します。各ツールには明確な入力パラメータと出力形式を定義し、ツールの説明文(MCPのdescriptionフィールド)には、AIが適切に使用できるよう詳細な情報を記載してください。
再利用しやすいエンドポイント設計と命名ルール
MCPツールとして公開するn8nエンドポイントには、一貫性のある命名規則を適用することが重要です。
**エンドポイント名は動詞+名詞の形式(例:get-customer-info、create-invoice、update-inventory)**を使い、何をするツールなのかが一目で分かるようにしましょう。
また、バージョニングの仕組みを考慮し、将来的な変更に対応できる設計にしておくことも推奨されます。たとえば、/v1/get-customer-infoのようにバージョン番号を含めることで、既存のAIエージェント統合に影響を与えずに新バージョンを並行運用できます。
入力パラメータの命名も統一し、customer_idなのかcustomerIdなのか、プロジェクト全体で一貫したスタイルを採用してください。
エンドポイントのドキュメント(OpenAPI仕様書など)を整備し、チーム内で共有することで、複数人での開発や保守がスムーズになります。
n8n×MCP連携を発展させるアイデア

基本的なn8nとMCPの連携が実現できたら、さらに発展的な活用方法を検討することで、システムの価値を最大化できます。
ここでは、実務で役立つ応用アイデアをいくつか紹介していきましょう。
ここからは、n8nとMCPの連携を発展させる具体的なアイデアとして次の3つを解説します。
それぞれ詳しく解説していきます。
複数AIエージェントから同じn8nフローを使い回す
MCPの大きな利点は、標準化されたプロトコルにより、複数のAIエージェントから同じツールを利用できることです。
たとえば、Claude Desktop、VS CodeのCopilot、Cursorなど、異なる開発環境のAIアシスタントすべてから同じn8nワークフローを呼び出せるのです。
これにより、一度構築したワークフローを社内のさまざまな場面で再利用でき、開発効率が大幅に向上します。
営業チームはSlack上のAIボットから、開発チームはIDEから、経営層はカスタムダッシュボードから、それぞれ同じ「売上レポート生成」ツールを利用するといった運用が可能になるのです。さらに、将来的にOpenAIがMCPをサポートすれば、ChatGPTからも同じn8nツールが使えるようになり、プラットフォームに依存しない柔軟なAI活用基盤が完成します。
このような「汎用ツール基盤」としてn8nを位置づけることで、長期的なROIを最大化できます。
モニタリングダッシュボードと組み合わせた自律運用
n8nの実行ログを可視化するダッシュボードを構築することで、AIエージェントの動作状況を常時監視できます。
GrafanaやDatadogなどの監視ツールとn8nを連携させ、ワークフローの実行回数、成功率、平均実行時間、エラー内容などをリアルタイムで表示する仕組みを作りましょう。
異常なパターン(特定ツールの連続失敗、想定外の高頻度実行など)を検知したら、自動的にアラートを発行し、人間の管理者に通知する仕組みも重要です。さらに進んだ活用として、監視データ自体を別のAIエージェントに渡し「最近エラーが増えているワークフローを分析して改善案を提示する」といった自己最適化の仕組みも構築できます。
長期的には、AIエージェントの動作ログから「よく使われるツールの組み合わせ」を学習し、新しい複合ワークフローを自動生成する、といった発展も考えられるでしょう。
このような自律的な改善サイクルを組み込むことで、システムが使われるほど賢くなる基盤が実現します。
既存RPAやiPaaSとのハイブリッド構成
n8nは単独でも強力ですが、既存のRPAツール(UiPath、Power Automate Desktopなど)やiPaaS(Zapier、Makeなど)と組み合わせることで、さらに広範な業務をカバーできます。
たとえば、AIがn8n経由で判断を下し、その結果に基づいてRPAが社内システムの画面操作を実行するという連携が可能です。
n8nからRPAを起動するには、RPAツールのAPIやコマンドライン実行機能を利用し、HTTPリクエストノードやExecute Commandノードで呼び出します。逆に、Zapierで収集したデータをn8nに渡し、n8nで高度な処理を実行してから、結果をZapier経由で各種サービスに配信するといった構成も効果的です。
このハイブリッドアプローチにより「クラウドサービス連携はn8n、レガシーシステムのGUI操作はRPA、単純なトリガー監視はZapier」といった役割分担が実現します。
既存の自動化投資を活かしながら、段階的にAI駆動のシステムへ移行できるため、大規模組織での導入ハードルも下がるでしょう。
まとめ
n8nとMCPの連携により、AIアシスタントが実際の業務を自動実行できるシステムを構築できます。
MCPがAIと外部システムをつなぐ標準プロトコルとして機能し、n8nが裏側で複雑なワークフローを実行することで「AIが判断し、n8nが実行する」という理想的な自動化が実現するのです。
導入にはWebhookエンドポイントの作成とMCP設定ファイルへの登録という基本ステップを踏みますが、本番運用では認証設定や権限管理といったセキュリティ対策が不可欠になります。
設計面では、AIと固定ロジックの役割分担を明確にし、小さな機能単位でツールを構築することで、保守性と再利用性の高いシステムを作れるでしょう。
n8nとMCPの組み合わせは、ノーコード・ローコードで実現できるAI時代の業務自動化の理想形と言えます。
