生成AIを活用した業務効率化の事例6選【成功企業の共通点まとめ】

生成AIで業務を効率化できるとは聞くけど、実際どうやるのかイメージが湧かない…
参考になる事例ってないのかな…

ChatGPTを使えば業務を劇的に効率化できる!」「Geminiで⚪︎⚪︎の作業が効率化できた!」など、SNS等で生成AIを活用した生産性の向上事例を見聞きする人は多いですよね。実のところ2025年現在では、業種や業務を問わずさまざまな場面で生成AIの活用が進んでいます。

ただ、いざ生成AIで業務の効率化をしようにも、どう活用すればいいのかわからない人もいるはず。
そこで本記事では業界別に、生成AIで業務効率化を実現した企業事例を紹介します。成功企業の共通点や業務効率化に活用する流れも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事の要約
  • 業務効率化成功には共通点がある
  • 生成AI業務効率事例を10社紹介
  • 幅広い業務を生成AIで業務効率化できる

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目次

生成AIで業務効率化に成功した企業の共通点

生成AIで業務効率化に成功した企業の共通点

事例を参考にしやすいよう、はじめに生成AIで業務効率化に成功した企業の共通点を、3つにまとめて紹介します。

複数のツールを組み合わせて使用している

業務効率化に成功している企業は、複数の生成AIツールを目的に応じて使い分けています。1つのツールですべての業務をまかなうのは難しいことに加え、それぞれに得意分野があるためです。

文章作成・画像生成・動画編集など、業務ごとに求められる作業内容は異なります。複数のAIツールを使うことで、効率化できる領域を広げることができます。多機能なツールですべての対応をおこなうことも可能ですが「文章作成に強い」が「動画生成は苦手」など得意不得意があるのが現状です。

成果を上げている企業は強みを見極め、業務に応じてツールを使い分けています。結果としてアウトプットの精度が高まり、業務全体の効率化にもつながっています。

生成AIにどんな種類があるのかを詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

経営層が本気で取り組んでいる

業務効率化に成功している企業は、経営層が生成AIの活用に本気で取り組んでいます。

総務省の調査「令和6年版情報通信白書」から、積極的に生成AIを活用している日本企業は15.7%と低水準なのが現状です。しかし、経営層が主導して生成AIの活用に取り組んでいる企業ほど、他社との差を広げているのです。

経営層が方針を明確に示せば、「重要な取り組みだ」という認識が社内に浸透し、反発や先送りも起きにくくなります。

現場任せにすると誤った判断が多数派となり、意図とは異なる方向へ進むおそれがあります。だからこそ、経営層が全体を把握し、必要に応じて軌道修正を図ることが重要です。

現場が迷わず使える仕組みがある

業務効率化に成功している企業は、全従業員が生成AIを迷わず使える仕組みを整えています。AIに前向きな人ばかりでなく、従来のやり方を好む人や新しいツールに不安を持つ人もいるためです。

具体的な仕組みとしては、例えば業務ごとのマニュアルを整備したり、よく使う指示文(プロンプト)テンプレートの整備することが挙げられます。「この業務ではこのツールのこの機能を使う」など、業務とAIの対応関係を整理した判断用マニュアルを用意しているケースもあります。

生成AIは一部の人だけが使っても大幅な業務削減にはつながりません。全社的な活用へと広げる仕組みを構築することで業務効率化の効果が高まり、着実な成果へと結びついていきます。

生成AIで業務効率化を実現した企業事例10選

ここからは業界別に、生成AIで業務効率化を実現した企業の事例を、10個にまとめて紹介します。前述した成功企業の共通点を念頭に置きながら、参考にしてください。

【銀行】株式会社みずほフィナンシャルグループ:幅広い事務作業を効率化

みずほフィナンシャルグループでは業務効率化を目的に、幅広い業務で生成AIの導入を進めています。

例えば法人向けの与信稟議作成と呼ばれる業務では、複雑な検証項目が多く1件あたり1〜2時間の作業を要していました。若手社員やキャリア採用者の増加によりスキルにばらつきがあり、審査部での見直しにも時間を要していました。

そこで生成AIを活用し、ワンクリックで稟議の下書きを作成できる仕組みを導入。作業時間は約10分に短縮され、品質も一定の水準で保たれる見込みです。

銀行業務では、業務効率化と同時に高いセキュリティ水準が求められます。同様のリスクを重視する他業種のでも参考にできる点がある事例ではないでしょうか。

参考:〈みずほ〉が見据える、10年後の金融。生成AIを活用して、業務効率化と新たなイノベーションの実現へ。

【IT】anbx株式会社:法務業務全般を効率化

OLGA
出典:OLGA

anbxはソフトウェア開発を行う、従業員約20名の企業です。専任の法務担当は置いておらず、大手との取引では知的財産権の扱いなど慎重な確認が求められたため、契約書の確認は社長も確認していました。

そこで、法務分野に特化した生成AIを導入。条文のレビューや修正案の提示や法改正への対応、有利・不利の判断まで支援できるようになり、確認作業の負担が大幅に軽減されました。

当事例の法務のように専任を配置しづらい部署でも生成AIで業務効率化することで、一人分の人材を確保したような効果を得られたようです。人手を増やさずに対応力を高められる点で、少人数体制の企業にとって参考となる事例です。

参考:OLGA を利用することで、法務担当が1人増えたような安心感。

【小売】はるやま商事株式会社:顧客分析を業務効率化

はるやま商事は全国展開する紳士服チェーン大手です。全会員に同じ内容のDMを送っていましたが、顧客ニーズの多様化により、反応や来店数に限界を感じていました。

そこで、感性の学習に特化した生成AIを導入。会員100万人の購買履歴や商品画像をAIが分析し、顧客ごとに最適なスーツ・シャツ・ネクタイを提案させました。

結果として来店率はメンズで15%、レディースで12%向上し、店頭売上も増加しています。

顧客分析は本来、高度なスキルと多大な労力が必要ですが、生成AIの活用によって負担を増やすことなく個別対応を実現できました。

参考:はるやま商事、AI活用したレコメンドで来店客15%増

【行政】青森県庁:議事録作成業務を4割削減

青森県庁では限られた人員と予算の中で、会議後の議事録作成に多くの時間と労力がかかっていました。そこで音声認識AIを活用し、発言のテキスト化や誤変換の修正、話者の識別を自動化させました。

文字起こしには時間がかかり、外注も行っていたことからコスト負担も大きかったようです。AIの活用によって作業時間は最大4割削減し、外注費の削減に成功しています。

行政というとIT導入が遅れがちに見られますが、青森県庁のように積極的にAIを取り入れている自治体も増えてきています。

参考:自治体におけるAI活用・導入ガイドブック

【情報通信】都築電気株式会社:営業リサーチにかかる時間を短縮

スピーダ
出典:スピーダ

都築電気は1932年創業の通信やネットワークの構築を軸にする老舗IT企業です。新規開拓営業時、電話前の情報収集に時間がかかり、担当者ごとにやり方や成果に差が出る課題がありました。

そこで営業リサーチ機能付きの生成AIを導入。企業情報が整理された状態で出力されるため、リサーチの手間を大幅に削減できました。営業メールも作成時間を短縮できただけでなく、誰でも一定の質を保った響く文面を作成できるようになりました。

結果、リサーチにかける時間を減らしつつ、アポイント獲得数は1.5〜2倍に増加。無駄な作業を減らし、かけた時間をしっかり成果につなげられる、営業効率の高い体制を実現した事例です。

参考:生成AI機能も活用し、インサイドセールスのコールやメールアプローチの成果を拡大

 【化学メーカー】花王株式会社:経理業務を55,000時間削減

花王
出典:花王

花王グループでは、美容部員の通勤費や交通費の精算業務に課題がありました。全国の店舗で働く6,000人規模の社員の経費処理に、多くの手間がかかっていたためです。

そこで、生成AIを活用した経費処理ツールを導入しました。出退勤や入退館の情報をもとにした移動経路の自動予測や、通勤費と交通費を分けて自動仕訳する仕組みが構築されました。年間約55,000時間分、金額にして約1.5億円分の業務削減が見込まれています。

人手で行っていた作業が自動化されたことで、美容部員は接客やカウンセリングなど、本来の業務に集中しやすくなりました。現場の時間を生み出し顧客対応の質を高める流れは、他社にとっても参考になる取り組みです。

参考:美容部員の業務能率化をめざして経費精査AIの利用を開始

 【IT】GMOインターネット株式会社:YouTube用素材の作成業務を効率化

GMOインターネットは、インターネットインフラや広告・メディア領域を幅広く手がける大手IT企業です。

ロゴやYouTubeカバー画像などの制作業務に時間がかかり、初期のアイデア出しに課題がありました。発想が固定化しやすく、方向性を広げるのにも手間がかかっていたためです。

そこで生成AIを活用し、イメージボードの素材や配色、フォントなどの提案を受けながら制作を進行。ロゴ制作では約30分、カバー画像制作でも複数案を短時間で用意でき、いずれも作業効率が向上しました。

AIの出力を参考にしつつ最終的な仕上げはデザイナー自身が行うことで、時短と質の両立を実現。業務負担を軽減しつつ、クリエイティブの幅を広げた事例です。

参考:【デザイナー向け】AIで画像生成!デザイン業務効率化を実現する活用事例

【エネルギー】小平株式会社:Excel分析作業を効率化

note
出典:note

小平株式会社は、鹿児島県で創業100年を超える老舗企業です。社内にある数万件のExcelデータを扱う業務では、従来の手作業では時間がかかっていました

そこで、ChatGPTのカスタム機能「data analyst」を活用。Excelファイルをアップロードし対話形式で分析を進めることで、Pythonによる集計や可視化を短時間で実行できるようになりました。

馴染みのあるExcelをベースに、特別な技術がなくても業務の負担を軽減できた点が特徴です。日頃からExcelを使っている人にとって、参考になる事例です。

参考:地方老舗企業での生成AIの活用事例-使えた6パターンとこれから3パターン-(2024年4月ver)

【建設】東洋エンジニアリング:人事への問い合わせを66%削減

PEP
出典:PEP

東洋エンジニアリングは、世界各地でプラント建設を手がける総合エンジニアリング企業です。社内からの問い合わせが多く、内勤社員はその対応に多くの時間を費やしていました。

掲示板やチャットに情報が掲載されていましたが、見つけにくさから同じ質問が繰り返され、業務負担になっていたといいます。

課題に対応するためAIチャットボットを導入し、人事・総務・ITに関する問い合わせに自動で応答できる仕組みを整えました。

導入の結果、問い合わせ件数はおよそ66%減少しました。簡単な質問はチャットボットが処理するようになり、担当者が本来の業務に集中しやすい環境が生まれています。

参考:人事部門の3つのチームで約66%のお問い合わせ削減

【通信販売】株式会社DINOS CORPORATION:コピーライティングやLP作成業務を5割~8割削減

UserLocalChatAI
出典:UserLocalChatAI

DINOS CORPORATIONは3万点を超える商品を扱う総合通販企業です。コピー作成や通販ページ構成案作成業務に時間がかかることが課題でした。

こうした課題に対応するため生成AIを活用し、商品情報からコピー案や構成案を作成できる仕組みを整備。社員は微調整を加えるだけで、高品質なコンテンツを短時間で仕上げられるようになりました。

ターゲット分析や販売戦略の初期案作成にも活用し、発想支援としても役立てているようです。数値的にも導入から半年で作業時間を50〜80%削減に成功しました。

日々の制作業務に時間を取られている企業にとって、参考になる事例と言えるでしょう。

参考:導入から半年で、コピーライティングやランディングページ構成といった業務時間の50%~80%削減を実現

生成AIで効率化できる業務一覧

先ほど解説した事例を踏まえ、生成AIで効率化できる業務を一覧にまとめました。自社の業務と照らし合わせながら、効率化できそうな領域を探してみてください。

業務カテゴリ効率化できる業務例
文章作成メール文作成や議事録、報告書作成、翻訳文作成など
クリエイティブ作成イラスト素材、バナー画像、動画作成など
分析アンケートの要約や、データ集計、可視化など
アイデア創出記事見出し、構成パターン、広告文の草案作成など
戦略策定3C分析やペルソナ作成など、マーケティングに関わる業務など
プログラミングプログラミング用のコード生成、Excel用のマクロコード生成など
法務条文の要約・解説、リーガルチェックなど
会計データ入力・仕訳の自動化、請求書処理の自動化など
問い合わせ対応チャットボットによる社内問い合わせの自動応答など

なお、下の記事ではChatGPTで効率化できる業務の例を詳しく解説しているので、よければ参考にしてください。

生成AIで業務を効率化する5ステップ

生成AIで業務を効率化する5ステップ

事例から業務効率化のイメージは湧いたものの、実際にどう進めればいいのかわからない人も多いですよね。

そこでここからは生成AIで業務効率化する流れを、5つのステップにまとめて解説します。

ステップ1:現状の業務を棚卸する

まずは現在行っている業務をできるだけ多く、具体的に書き出します。ステップ1では改善できそうかどうかや優先順位は考えず、どんな作業もなるべくすべて洗い出すようにしましょう。

あわせて「誰が・いつ・どのように」行っているかも記録しておくと、次のステップで効率化の優先順位を決める際に役立ちます。

ステップ2:効率化する業務を決める

次に、棚卸した業務の中から生成AIで効率化する業務を選びます。すべての業務を一度に改善するのは現実的ではないため、使える時間や予算をふまえて優先順位をつけます。

理想はすぐに着手できて、改善効果が大きい業務です。中でも次のような特徴があるものは効率化の効果が大きく出やすいです。

  • 間違いが起こりやすく、確認の手間がかかっている業務
  • 人件費が多くかかっている業務
  • 担当者が固定されていて、ほかの人では対応しにくい業務

社内で優先度の高い課題がある場合は、その課題に関係する業務から始めるのも有効となります。

ステップ3:活用する生成AIを精査する

活用する生成AIを精査する
活用する生成AIを精査する

効率化の対象が決まったら、その業務に合った生成AIを検討します。前述のとおり生成AIには得意・不得意があるため、目的に合ったものを選ぶ視点が求められます。

他社の事例を参考にするのも有効です。同じような業務で何をどのように使っているかを知ることで、効率化の具体的なイメージがつかめます。

次の記事では性能や料金の比較からおすすめの生成AIを紹介しているので、よければ参考にしてください。

ステップ4:記録しながら活用を繰り返す

生成AIを使い始めたらどれだけ時間を短縮できたか、作業の質に変化があったかを記録します。成果が見えにくいと継続しづらいため、なるべく定量的に効果を把握しておくことが重要です。

うまく進まなかった部分があれば、現場の声をもとに使い方を見直しましょう。最初から完璧を求めるのではなく、使いながら調整していくようにします。

ステップ5:成功したやり方をマニュアルに落とし込む

成果が出た使い方はその場限りにせず、手順を整理してマニュアル化します。誰が使っても同じように活用できるよう、プロンプト(指示文)の入力例や注意点などもあわせてまとめておくことが大切です。

活用方法が自部署内で定着してきたら、他部署にも展開できないか検討します。ステップ1〜4で行った意思決定手順を共有しておくと、他部署でも自分たちの業務に置き換えて活用しやすくなります。

まとめ

生成AIは営業関連の業務から経理などのバックオフィスまで、幅広く業務効率化に活用されています。事例として紹介したように、作業時間の大幅な削減や成果の向上を実現した企業もあります。

本記事で紹介した成功企業の共通点や活用手順を参考にしていただき、生成AIによる業務効率化実現の一歩につながれば幸いです。

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この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、AI・生成AIを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のAIプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/生成AI/AI・ロボット開発/プログラミング/Webデザイン

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